文化資源マネジメント(市民遺産/文化財保存活用地域計画等)
「文化遺産(cultural heritage)」と「文化資源(cultural resource)」の言葉に明確な定義はありませんが、私は次のように説明しています。
まず、有形・無形、動産・不動産といった資産の形や、その存在を人々が認知しているか否かを問わず、地域に存在するあらゆる文化的な資産の個別の要素が「文化資源」です。地方地域の文化を継承するには、縮退する社会のなかで消え去ろうとしているこれら資産たちを惜しむことなく拾い上げ、一人でも多くの人が知るところとし、無為な喪失から救うことが重要です。
そしてそのためには、地域の空間や人の暮らしの中に潜在するそれら「資源」を、「遺産」として継承したいと誰かが考えはじめる(気付く)ことが必要です。その人が大切と思う「文化資源」の価値が、誰もが理解できる普遍的価値(universal value)として、すなわち物語(ストーリー)として説明され、まわりの人たちから受け入れられたとき、それは継承すべき「文化遺産」として共有されること(みんなのもの)になります。こうした考え方は、太宰府市の市民遺産や遠野市の遠野遺産、萩まちじゅう博物館の取組みなどのなかで育まれ、いまでは全国の様々な自治体で文化財保存活用地域計画の形をとりながら展開しています。
これまで「文化財」の言葉は、政府や自治体が保護すべきエリート的な資産と考えられてきましたが、近年、文化財保護法が改正されるなかで、こうした「文化遺産」とほぼ同じ広い意味で用いられるようになり、それらを地域社会総がかりで継承しようとする考え方が広まってきています。
