リビングヘリテージと伝統的建造物群
〜生きた遺産としての歴史的集落・町並みの価値創造と保全
伝統的建造物群は、日本の文化財保護法で「周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの」と定義され、その建造物群に人が住み続けていることが保存地区となる前提でもあることから、リビングヘリテージの①と②の両方の意味もあわせもつ遺産といえます。
ユネスコの世界遺産では、ピラミッドやアンコールワットのような、ある文明や文化における権力が構築した遺産を「モニュメント(monument)」や「遺跡(site)」と呼ぶのに対し、無名の民が日々の生活の中で長い時間をかけ築き上げた市街地や集落のような建造物の集まりからなる遺産を「建造物群(group of buildings)」と呼んでおり、ベネチアの市街地や白川郷の合掌集落などが登録されています。
人が住み続けている建造物群そのものが遺産の価値を形成しているため、保護する
には住民の日々の暮らしと建造物群の保存を調整することが非常に重要で、また困難な課題でもあります。しかし、人の暮らしと共にある価値ある建造物に触れることは、観光客にとっては大きな魅力であり、観光目的地(デスティネーション)として大きな可能性を秘めた遺産の類型であるといえます。
